06 アパート到着!
1年目の思い出 06
アパートに到着しました。アパートの入り口の古めかしくて重いドアを開けるとそこには思い描いていたパリがありました。
アパートのあの小さなドアの中に、こんなにも広い空間があるなんて知らなくて、沢山のドアの中のドアに、広い中庭に木が生えて、花が植えてあり、中庭を囲む建物の開けっ放しの窓からそこの住人の生活音が聞こえ、階段が100年以上そこで軋み続けている宇宙が、パリのいたるところのドアの中にあるって考えると途方もないし、そこが好きで、道を歩く際、チャンスがあれば他のアパートのドアの中を覗く癖が出来てしまった。
だけど、そういう古いアパートってすごく不便でもあって、重い買い物をした時の階段は堪えるし、水は詰まるし、なんかすぐに思い浮かばないけど、一日、数回は必ずイラッとするから、出来れば、次はエレベーターのついた情緒のない普通のアパートでって思うのは、憧れてるうちは、あの先輩かっこよかったけど、付き合ってみるとなんか違うわってのと一緒なのかも。