02 日本再発見

フランス人と行く日本旅行 02

日本のガイドブックを購入して、旅の計画を立てはじめるピエール。どうしても行きたいところがあるらしい。

 

　そこら中に鹿がいるとガイドブックに書かれていて、YouTubeでその鹿を確認し、奈良の魅力にすっかり取り憑かれたらしい。

　確かに、奈良と鹿、関西生まれの僕にとって、それは当たり前のように自分の中で消化されていて、例えば、カエルの子供はおたまじゃくしで、ひよこはニワトリになるといった、小さい頃に知り、当時多少は驚いたその事実は、今じゃなんの驚きももたらさないのと同じで、奈良には鹿がウジャウジャいるってのは当たり前のことだと思いがちだが、20歳中ばの、立派な社会人の、世の中の仕組みを理解しきった年齢で知る鹿だらけの街というインパクトというのは、一体、どれ程のものだろうと思う。

　多くのフランス人は単純にその自分の理解を越えたものをエキゾチックという言葉で片付けるんだろうが、それは、あまりにもったいないと思う。そこら辺、素直に驚き、この目で奈良と鹿を拝みたいというピエールには期待しかない。

　だって、よくよく考えると、おたまじゃくしからカエルになるのってめちゃくちゃ変だもの。