パリ漫!ソレコマール

30歳超えて衝動的にフランスのパリに住み始めました。

49 マルシェは続くよ、いつまでも

1年目の思い出 49 ◯◯◯◯事情

自宅前で週に二度開催されるマルシェで、甘い匂いを放ち続けるチュロス屋さん。揚げたてアツアツで甘いチュロスを無口なおじいちゃんが揚げ続ける。

おすすめパリのマルシェ

フランスのマルシェの歴史は古い

世の中と人間の真理

 こうやって、一つ、店はなくなるが、同じ場所にまた新しい店ができて、なにごともなかったようにマルシェは形を変えてずっと続いてきたんだろうし、これからもきっと続いていくんだろう。いつもと同じような活気で、何も欠けたところがない。何が起こっても変わらず動く世の中っていうのは、冷たいような気もするが、そんなところが信頼できるとも思う。

 しかし、匂いってのは、記憶に強ーくこびりつく。あの甘い香りがするとき、白衣を着た無口なおじいちゃんとあの美味しいチュロスを思い出すんだろうな。

 としんみり思いながらの1ヶ月後、チュロスのおじいちゃんが何気ない顔で店を開いて営業してるじゃないか。どうやらマルシェ中で死亡説が流れていたらしい。俺にホラ吹いたチーズ屋のおっさんに対して『なんて適当なやつだ』と少し腹立たしくもあったが、それより、おっさん生きてたんだねと嬉しくなり、購入したチュロスの味は思い出として閉まっていたチュロスより、油っこくて甘ったるく全く美味しくなかった。思い出は美しいもの。要するに人間誰しも、いいかげんってことだと気付く。