36 フランスパンの不思議な旨さ
1年目の思い出 36
フランスと言えば、フランスパン(バゲット)。こっちに来る前は、フランス人がフランスパンを買うなんて少し大げさな日本人の決めつけだと思ってたので、初めてみんながみんなフランスパンを小脇に抱えて歩いてる姿を見て軽く目眩がしました。
ほんとシンプルな作りだからこそ、真価が問われると言うもので、日本で食べてたものとは全く違う素材の美味しさに驚いたのを覚えてます。例えて言うなら、日本で言うお米の美味しさにあたるのかもしれません。
家に着く前の帰り道に半分食べちゃった。とか、フランスパンをなめてた。とか。こちらに住む日本人にとって『あるある話』で退屈な話題であるけれど、本当に皆んな、よく聞くだろうこの擦り切れた面白くもない話を目を輝かせて個人的体験として語ってるんだから、各個人で様々なフランスパンとの出会いがあったんだろうと微笑ましくなります。
そりゃバターやジャム塗って、色々味付けた方が美味しいんでしょうし、買うときはそのつもりなんですけど、帰り道に一口かじるバゲットのなんでもないパンの味は、素材の美味しさは勿論、個人的には乾いたパリの空気や、晩御飯前につまみ食いする軽い背徳感なども手伝って、一層美味しく思えます。フランスパン、奥が深いです。