パリ漫!ソレコマール

30歳超えて衝動的にフランスのパリに住み始めました。

48 一種のパリ症候群

1年目の思い出 48

フランス生活一年目、パリのおっしゃれなイメージに何一つ縁のない自分は、「ケッ」と言う思いでそれらを遠目から眺めていたのだが、いつの日か、そのイメージに一矢報いたいと思うようになっていた。

おしゃれなパリのイメージで悩む

パリのイメージとのギャップがでかい

 凱旋門をバックにグラサンかけてシャンゼリゼ通りを風切って歩くパリジャン、パリジェンヌの幻に、些細な日常のダサさの塊を思いっきりぶつけてザマーミロという気分になっていた。

 平日の夜にやってるカラオケ番組で、「普通の」人が緊張して妙にうまく歌い、「普通の」観覧客がノリノリで踊りながらその歌を聞くその姿の既視感といったら、フランス版のど自慢と言ってよく、「普通の」パリに住んでる女の子(パリジェンヌ)の部屋に飾られたホームセンターとかに売ってるニューヨーク、タイムズスクエアの写真パネルの物哀しさ。学校指定かと思うくらいフランスの「普通の」学生は同じリュックサックを背負って、どこかのブランドのヒョウの顔が入った大阪臭漂うスウェットを「普通の」若者が着ているのを見て、しめしめと思っていた自分。

 よく言われるパリシンドローム、パリに憧れを持った日本人が、実際住んで思い知る現実とのギャップに落ち込んで憂鬱になるってやつだが、自分の場合は、パリに憧れなど微塵も持ず、住んでみて作られたイメージに苛立ち、イメージと現実とのギャップを見つけては清々した気分になるという、全く逆ではあるが、結局、精神的余裕のなさは一緒で、これも十分、一種のパリシンドロームにかかっていたんだなと今になって思う。