パリ漫!ソレコマール

30歳超えて衝動的にフランスのパリに住み始めました。

45 海外にかぶれるワケ

1年目の思い出 45   発見!フランス語

フランス生活一年目、Bonne journéeとBonne soirée、別れ際に使うこのフレーズ、直訳すると「良い一日を」と「良い夜を」という意味で、基本的なこの挨拶、どの教科書でも最初に習うフレーズだろう。ただ、覚えてはいても、なぜか使えない。

海外かぶれの人の特徴

日本語の海、フランス語の海

 日本にいた時、「良い一日を!」や「良い夜を!」なんて言葉、口にしたことも耳にしたこともなかったと思う。もし、そんな言葉、友人に別れ際に投げかけられた日には、酔いも醒め、こんなキザなところあるんだなって今後の付き合い方を考えかねない程の自分が、国が変わったからといってすぐにウインク付きで「良い夜を!」とはならない。

 日本語に独自の世界があるように、フランス語にだってフランス語の世界があり、「良い夜を」と「Bonne soirée」は同じ意味でも捉え方が全く違う。少なくとも、フランスではキザなやつとは思われることはない。フランスに住み始めた当初はまだまだ日本語の世界に住んでいたので、「Bonne soirée」を無理やり日本語に落とし込んだことによる、葛藤だったんだろうと思う。

 数年経ち、フランス語の世界を構築したあとなら、あんなに抵抗があった言葉をすんなり言えてしまう自分。「Bonne soirée」を「Bonne soirée」として理解したフランス人気分の僕は、逆に、今度は日本に一時帰国中、友人と会った時、今度はフランス語の世界を持ち込んでしまい、「良い夜を!」のない別れ際に物足りなさを感じ、その一言を言いたくて仕方なかった。もし、あの場で誘惑に負けて言ったならば、日本語の世界で、こういう人間を「海外かぶれのキザな奴」と言うのだろう。